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昔の恋  

2012年 05月 20日

昨晩、テニスの帰りに深夜の静かになった街を自転車で走っていた。
パリをほとんど縦断するように家へ向かう。

夜のパリはとても美しい。
暗闇の中でオレンジ色に照らされた家々が輝いて見える。
古くからある街並に住んでいる息吹が感じられる。
そんな街を風になったような気持ちで自転車で走るのは本当に気持ちが良い。
セーヌ川沿いを走ると、街灯の光がまるで星空の中を進んでいるだ。

自転車で走りながらとても懐かしい道を見つけた。
僕の好きな映画で撮影に使われている通りで、頻繁にそこを通っているわけではないのに昨晩は急にその映画について思い出した。

その映画はBefore Sunset



主演のジュリー・デルピーの新しい映画が公開されたから思い出したのかもしれない。

大好きな映画なので内容に触れたくないのだけど、パリで9年振りに会った男女の話。
この映画が公開されたのは僕がパリに来た年で、映画のポスターが沢山貼ってあったのを今でも覚えている。
僕のパリ生活の始まりは、魔女の宅急便と、このBefore sunsetなのかもしれない。

そんな2004年から既に8年が経っている。
先程、久しぶりにこの映画を見なおしたのだが、映画の中で32歳の設定になっている二人に以前見た時よりももっと共感出来るところがあった。
良い作品は時間の経過によってまた違った見方や違った感動があるものである。
初めて見たときは32歳の二人がずっと大人に感じて、32歳なんてずっと先のことだと思っていた。前作の映画から実際に9年経ってから作られたという映画の時間の中に、僕もやっと入れたような気がした。

時間というのはいつの間にか過ぎてしまって、気付いたら莫大な時間が流れてしまっている。
先日、母が「ついこの間まで20歳だった気がする」と言っていた。
きっとそんなものなんだろう。

過去は近いようで遠い、遠いようで近い。
映画の中で、セリーヌは小説を読んだことで今の自分がドライで過去の自分が情熱的だったことを思い出してしまって悲しいというような台詞があった。

素晴らしい出来事は記憶の中で輝き続ける。
でもそれが現実に戻って来た時、美化された記憶には敵わない。
過去に囚われると現在を生きていくことは出来ない。
しかし、美しい過去には魅力がある。

前作で23歳だった二人のフレッシュな魅力は時間がたった今でも色褪せない。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=LNk4tRlco7Y
字幕なし


2つの映画共に会話だけの映画。
シンプルで単純だが、だからこそ良い。
余計な音楽も、余計な演出もない。
だからこそ素晴らしい。

昨日、夜の街を走りながら、過ぎてしまった時間と積み重ねた時間を考えた。
いつの間にかこの土地にも慣れ親しんでしまった。

次はどこに行くかわからないが、僕にとってパリは永遠の恋人になることだろう。

# by masarumizushima | 2012-05-20 07:53 | 日記 | Comments(0)

都市と記憶  

2012年 04月 24日

夜の高速道路を南仏の方からパリまでずっと走らせていくと、暗い夜空がオレンジの光で徐々に明るくなっていく。その光の中心がフランスの首都であるパリであり、ヨーロッパの中心だ。
光り輝く大都市に車が向かっていく途中で、この光は人々の光の集合体なのだと気付かされる。

パリに人が集まりだしたのは、そんなに古いことではない。
ゴシック建築が建設される頃に、大幅に人口が増加したのだ。その理由の一つは、それまでの農村でとれる作物が減り、狩猟できる動物も減ってきた為に仕事を求めていたからであった。

都市が形成されるにあたって、建物だけに目が囚われがちだが、都市というのは人の集合体である。個人から家族、家族から町、街から都市になり、そして国家へと形を大きくしていくが、人の集まりによって作られていることには変わりがない。
人というのは物質的な人というのももちろんなのだが、人の思想が街を形成しているのではないだろうか。
街を見れば人が分かるように、人々の考え方がそのまま街を作っている。

パリではナポレオン三世の時代に大きな都市改造があった。それによって道が広められ、治安は向上し、あれだけの土地に効率的に人が住めるようになったのだ。それまで、電灯もガス灯もない夜道では犯罪が横溢し、道の細さによって心理的にそれを一層悪化させていた。犯罪というのはいつの時代も場所や国を問わず、暗い所で頻繁に行われてしまうものらしい。
時代によって変化していく都市もそうだが、新しく作られてる街にも作られる時代の風潮や思想が出てくる。そういった意味で、その当時に莫大な人口を抱えながら、清潔さと活気を持ち合わせた江戸は都市の成功例の一つではないだろうか。
その点、同じ場所でも東京と呼んだ際には大きな違いがある。明治以降に作られた東京という思想の塊は、それまでの歴史を踏襲することなしに近代都市を作り上げた。その原因の一つが、文明開化もそうだが、それよりも東京大空襲ではないかと僕は思っている。

人の記憶は変化するものである。
5歳児の時の記憶は、その後に親に話されたことを勝手に映像化し創り上げた記憶映像であることも多い。おばちゃんの証言が裁判で信憑性が欠けるとされることも多いように、記憶は不確かで変化するものなのである。
歴史的な概念が存在するようになったのは実はここ百数年の話で、それまでは歴史という概念が今のような形になっていなかった。それまでの歴史も人間の記憶と同じように、曖昧で不確なものだったようである。

人がその不確かな記憶を蘇らせる要因はいくつかある。
よく言うように、香りがその当時の光景を思い出させてくれることもあるし、かつて見た風景を目前にして幼少時期の記憶が蘇ってくることがある。人の記憶を呼び起こす装置として存在する全ての現象は、触れた瞬間に科学反応を起こして僕らの脳に直接呼びかけてくる。

都市というのは建物の集合体というだけではなく、同時に人の記憶の集合体だ。都市が破壊されることは同時に記憶を失い、歴史も薄らいでいくことなのだ。現に広島出身の友人は、昔の話を聞いても、原爆以前の話が出てこないと言っている。原爆で破壊された街や、亡くなってしまった人と同時に、感覚的な歴史概念も同時に失ってしまったのだ。

マリー・ローランサンの詩の一節で、「死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です」というのがあるが、死んでも記憶には残るが、忘れられるというのは存在そのものがなくなったに等しいのだ。

古いものが壊され、どんどん新しい道路や建物が作られて変わりゆく都市を見ていると、便利な反面で記憶を呼び起こす装置としての街と記憶を同時に失うんではないかという懸念が生まれる。
誇りというのは歴史や文化から得てもいいのではないか。

久しぶりに日本に帰ってそんなことを考えていた。
ぼくらが生きている現在よりも長いスパンで時間を捉えて学ぶことは多いように思う。

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この文章は今度展示する作品を作る前に書いたもので、日本滞在時に電車の中でさらっと書いたものです。
今よりも随分と抽象的に考えていて、この時に考えていたのを寝かせて作品化しました。
形にするまでに何年もかかり思った以上に遠回りしました。

このシリーズでの都市の形成と記憶の問題や、前のシリーズでの人間の不在と実在の問題は、去年の震災以降は特に繊細な問題になっているのと同時にとても大切なことなのではないかと思わされています。
人が本来持っているもの、大切にしているもの、それを見失いかけているものがあるのではないでしょうか。

# by masarumizushima | 2012-04-24 06:53 | 日記 | Comments(0)

Exposition : photographies グループ展  

2012年 04月 23日




Exposition : photographies

La galerie akié arichi

exposition du 10 mai au 5 juin 2012

Régis Airault
Akash Das
Brenda Hoffman
Masaru Mizushima


vernissage jeudi 10 mai de 18h à 20h30
ouverture du mardi au samdi de 14h30 à 19h et s/rdv

26, rue keller 75011 paris france
Tél: 0951465114

www.galeriearichi.com
email : galeriearichi@hotmail.com
parking: 121 avenue ledru-rollin
métro: bastille, voltaire, breguet-sabin, ledru rollin
autobus: 69, 76, 86, 87, 61, 91, 21

membre du comité professionnel des galeries d'art (CPGA)

# by masarumizushima | 2012-04-23 08:06 | Comments(0)

個展の記録  

2012年 03月 15日

フェイスブックに今年の1月に開催した個展の写真を載せてみました。

東京、 サテライツ アート ラボ
photo

オープニングパーティーでのミニコンサートの様子
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神戸、寺子屋ガラージュ
photo


# by masarumizushima | 2012-03-15 08:56 | NEWS | Comments(0)

個展、神戸・東京  

2011年 12月 15日



「水島優 展 影の肖像」
2012年1月10日(火)ー21日(土)
水曜日定休日
11:00~19:00
最終日は18:00まで
オープニングパーティー 1月14日19時から

ワークショップ・レクチャー・展覧会スペース
寺子屋 garage
〒650-0003
兵庫県神戸市中央区山本通3-8-1 1F garage
garage主催者専用番号:090-1583-7303
e-mail:s.b.s.garage@gmail.com
blog:http://d.hatena.ne.jp/TERAKOYA_garage/
twitter:http://twitter.com/TERAKOYA_garage



カフェトーク@C.A.Pカフェ
「水島 優(アーティスト)×唄 邦弘(神戸大学大学院) カフェトーク-写真の影/光を捉えること」
司会 太田 賢佑(garage主催)
1月15日 15:00~17:00
参加費:無料 ※カフェでのトークイベントですので各自、飲み物などをご注文頂きますよう宜しくお願い致します。

C.A.P
〒650-0003 神戸市中央区山本通3-19-8
神戸市立海外移住と文化の交流センター内
tel&fax : 078-222-1003
http://www.cap-kobe.com/

日常のなかで私たちは、影を光を遮るものとして、あるいは自身の歪められた姿としてしか見ていません。それに対して、この写真展のなかで、影はそれ自体が、ひとつの形として捉えられています。そのため鑑賞者は、写真の光と影を見ることになります。ただし、その影は、現前するものを不在にし、また不在のものを現前させます。そのため、その姿は、実際の対象の写し/移しでありつつ、それ自体が全く異なったイメージを見る者に与えるでしょう。
さらにこの作品では、光と影の境界は曖昧にされます。影はたんに光の反転ではなく、むしろその二つが互いに浸食し合う領域を作り出している。そのとき、鑑賞者のまなざしは否応なしにその曖昧な光/影の境界線へ向けられることになるでしょう。
唄邦弘(神戸大学大学院)



水島優展
La Mémoire de l'Ombre(Memory of Shadow)

2012/1/26(水)~2/8(水)
日月、休廊 最終日16時まで
12時-19時オープン 

「レセプションパーティー & ミニコンサート 1/28(土)16時~18時半
作曲家 渡辺 愛とチェリスト 任炅娥(イムキョンア)による即興音楽の演奏。”闇/光”」

Satelites ART LAB.(サテライツアートラボ)
東京都千代田区神田神保町1-15木下第二ビル2階
http://sateliteslab.com/

# by masarumizushima | 2011-12-15 11:40 | NEWS | Comments(0)

冬の匂い  

2011年 10月 20日

すっかり寒い日が続くようになってきました。
とはいっても最高気温15度ほどで、8月後半にもこのような気温が続いていたかと思うと思ったよりも寒くなっていと思えるから不思議なものです。

今年は7年ぶりに日本で年末年始を迎えることになり、近年味気ない正月を過ごしてきたのでなんだか楽しみ。
それと同時に日本で迎えるクリスマスも7年ぶりということで多少戸惑いがある。

フランスではクリスマスは家族で一緒に過ごす日で、年越しを友達とすごす人が多い。
なのでクリスマスが終わるとどうも一年が終ったような気になってしまい、ちょっとも物悲しい気持ちになる。
僕はフランスに家族がいるわけではないので、同じような境遇の人と一緒にわいわいすごすことが多い。
しかし毎年かかさないのは、クリスマスイブの夜は教会のミサに出席すること。
クリスチャンでもない僕がクリスマスのミサだけは必ず参加する理由は、これが日本での初詣の感覚に似てるからかもしれない。
僕は日本に住んでいた頃は毎年二年参りに行ったのもあって、ミサでクリスマスを迎えるというのが二年参りに似たようなところがあって心がリフレッシュのだろう。

教会によってはミサが終った後にホットワインを配ってくれるところもある。
そのホットワインをいただきながら、夜のオレンジ色の街頭に照らされた石畳の上を歩きながら我が家に帰ると、心がほっと安らいでいることに気付かされる。

今年はそのクリスマスを日本で迎える。
フランスのクリスマスとはまた違った日本のクリスマスを味わいながら、我何を思うのだろうか。

# by masarumizushima | 2011-10-20 08:34 | 日記 | Comments(0)

リニューアル  

2011年 09月 22日

数年ぶりにホームページをリニューアルしました。

まだまだ手直しをしなければいけませんが、とりあえず公開します。


"comming soon"となっている新作の発表は、日本での個展になります。

乞うご期待。



ニュースのページを別に作ったので、これからはblogも書くようにします。

# by masarumizushima | 2011-09-22 09:45 | NEWS | Comments(0)

個展: 7月7日〜24日  

2010年 06月 21日


 



水島優 個展


開催期間
2010年7月7日(水) ~ 7月24日(土)

オープニングパーティ
7月10日 16:00 - 18:00


サテライツ・アート・ラボ

open 12:00 - 19:00 
日・月:休廊
(最終日7月24日は16:00まで)

東京都千代田区神田神保町1丁目15 木下第二ビル 2F
半蔵門線、都営新宿線、都営三田線・神保町「A7」出口より徒歩1分

03-5467-7281
info@satelites.jp

http://sateliteslab.com







twitterで在廊中かどうかインフォメーションを流すかもしれません。
http://twitter.com/mizutamanegi



今回の展示は、去年展示したセーヌ川のシリーズと、新作になります。

新作は、実物を見ないと全然わからないものなので、是非おいで下さい。

# by masarumizushima | 2010-06-21 06:37 | NEWS | Comments(0)

スライドショー  

2010年 03月 31日

昨日から、四ツ谷三丁目にあるギャラリー「明るい部屋」でスライドショー形式のグループ展に参加しています。
去年の個展で出した作品のスライドショーですが、動画を混ぜながらの映像になっています。

去年の個展でのトークショーで、写真についての時間性について少しお話をさせていただきました。
セーヌ川で煌めく光を瞬間的に捉える中にも、1秒や何十分の一秒がフィルムに焼き付けられると。
今回、動画を混ぜることによって、その時間性というのはより明確になるのではないかと思っています。


もし、お近くに行かれることがあれば、足をお運び下さい。



開催期間
3月30日〜4月11日


ギャラリーの一周年記念パーティも開催されるので、良ければ是非。

★  4月10日(土)20時〜
 予約不要・参加無料です。
 お気軽にお越し下さい。


企画ギャラリー 明るい部屋
〒160-0018
東京都新宿区須賀町1番 村越ビル2F
TEL : 03-6380-5696 FAX : 03-6380-5697





続いて、ちょっと先の話になりますが、
7月6日から、同月24日まで神保町にて個展をします。


atelites art lab.
東京都千代田区神田神保町1-15 木下第二ビル2F

tel: 03-5467-7281
info@satelites.jp



こちらはセーヌ川の作品をメインに、過去の作品と新作を少々展示する予定です。

展示に合わせて日本に帰国しますので、ぜひおいで下さい。
オープニングパーティーの日には在廊する予定です。


他に、6月にパリでグループ展に参加する予定です。


それはまた追々。

# by masarumizushima | 2010-03-31 17:01 | 写真 | Comments(0)

個展 (東京四谷)  

2009年 07月 12日

個展をします。

「La Seine」





会期:7月28日ー8月9日
オープニングパーティー & トークショー 7月29日 20:00から






トークショー:
水島優(写真家) × 佐藤剛(歴史学者)

テーマ
「セーヌの流れと時間の流れ」

佐藤剛
専門:フランス中世文化史
早稲田大学文学学術院 非常勤講師


企画ギャラリー 『明るい部屋』
〒160-0018
東京都新宿区須賀町1番 村越ビル2F
tel: 03-6380-5696
http://akaruiheya.info/
12:00-20:00 月曜休み

今回の展示は、初めての個展となります。
ギャラリーもトークショーも無料になってますので、お気軽においで下さい。


個展開催場所のギャラリー「明るい部屋」は現代作家によるアートプロジェクトの一環として作られた二年間限定の非営利ギャラリーです。
面白い所なので、僕の展示以外でもぜひお立寄下さい。

会場にはなるべくいるようにしますが、事前に連絡をいただけたら確実かと思います。



たまには記事を書こうかなと思っている水島でした。

# by masarumizushima | 2009-07-12 01:29 | NEWS | Comments(2)

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