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2/25  ふみこの日

2005年2月の25日の夜中の2時半すぎ。

2月25日といったらあの子の事を思い出す。
彼女はまるで嵐のように僕の目の前に表れ、そして消えていった。
彼女は自分の事はふみこと名乗った。しかしそれ以上は何も分からなかった。名字もふみこというのが本名なのかも分からなかった。
今では当時の彼女の顔さえもうまく思い出せない。

出会いはまったくバカバカしいものだった。とても興味なんて湧きそうもなかった。ただ彼女の目だけは決して忘れられなかった。その目は悲しみを奥底に秘めながらもギラギラに輝いて、生きている情熱がそのままガラスの中に閉じ込められているようだった。外見はパッとしない目立たない服装。髪型も持っている物にはこれといって目立つものは何もなかった。地味で集団でいてもまず目につかないだろう。ただその目だけが静かに僕の事を見つめているようだった。

冬の寒い日だった。その寒さは起きてすぐに布団の中から出る気をなくさせた。僕はもっと眠ったいたかった。太陽がずっと上まで昇って少し暖かくなる時間まで。
今日はいつもより一段と起きる気力をなくしてしまった。なにより寒い。僕は寒いのが苦手なんだ。猫と一緒に一日中だってコタツの中でごろごろできる。それで一日中みかんを食べて、手が黄色くなっても食べるのを止めないんだ。そんなふうにして暮したいんだ。そんな事を考えながらいつものように布団のなかで愚図々々していた。
8:30 二度目の目覚まし時計が大音量を立てて叫び出す。まるで世界中の不満を彼が変わりに叫んでるように大音量で鳴っている。僕は毎朝のようにこの目覚まし時計と格闘する。僕は絶対止めないんだ。鳴ったからって止めると思ったら大間違いだ。時計なんぞに負けてたまるか。
そこへ目覚まし時計とは別の音が鳴り始めた。携帯の着信音だ。いつもの「日曜日よりの使者」が部屋中に響きわたる。僕はまず急いで目覚まし時計を止めに走る。
「この勝負は明日に持ち越しだ。」と時計に言い聞かせる。奴もわかったように素直に僕に従った。
電話に出ようとした瞬間にその電話は切れてしまった。まるで僕が電話に出る瞬間を見計らっていたように。まるで目覚まし時計と携帯電話のタッグだ。こちらは一人なのに。ずるい。目覚まし時計にこんな機能があったら僕は毎朝きちんと起きれるだろう。
すぐに掛け直そうとしてみるが番号が非通知になっていた。非通知設定なんて誰が考えたんだまったく。
せっかく布団から出たので、しょうがなく僕は出かける準備をすることにした。しょうがなくとは言っているものの予定時刻より少し遅れてしまっている。用意しておいたものをカバンの中にぶち込みながら鏡をチェックする。最近の睡眠不足が響いて目にクマが出来てる。そんでもって髪型がやけに可愛らしくまとまっている。ハードワックスでセットしながらいつものイブサンローランの香水を探す。もう一度に2つのことをやらなきゃ間に合わない。靴下の裏表なんか確認してられない。朝食?バカ言うな。

そうして階段を駆け下り家を出て行く。
今日は雪が降りそうだ。

ふみこはどうしたかって?それは僕が聞きたいよ。
by masarumizushima | 2005-02-25 10:47

文字と言葉


by masarumizushima