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直感と合理性

本日、逃げ恥の最終回でした。
ダンスが話題になっていましたが、内容が面白かったのでダンスまで話題になったのでしょう。中身が面白くなければここまで話題になってなかったように思います。

一言にまとめるならば、契約結婚した二人が実際に結婚するという内容です。
お見合い結婚の現代版のような感じです。
最初から結末が分かるストーリーは基本的に嫌いなのですが、こういう分かりやすい恋愛コメディというのは、
純粋にエンターテイメントとして楽しめます。登場人物が良い人ばかりというのも、こういうドラマの特徴でしょうか。すこし現実性を持たせておいて、物語のほとんどは理想的な夢物語です。
そこがとても良いのでしょう。

このドラマのキモとして、二人の関係のプロセスをいかにして築いていくかといことがあるかと思います。
僕は第一話で、ちょっと突拍子もないような設定にどのようにして視聴者を物語の中に引き込むのかという所が気になりました。ミクリが、突発的に契約結婚の話を出します。これはミクリが直感的にヒラマサのことが気に入ったのだと思います。人の直感というものは面白く、一目惚れ同士で結婚したカップルが圧倒的に離婚率が低いそうです。
その点で、直感的にこの二人はうまくいくと、視聴者にとっても分かりやすい展開がおとずれます。

すったもんだがありまして、最終回、二人の関係のプロセスを再構築することになります。
今までの関係から、次の関係に発展する時、この二人のように論理的思考で関係性を再構築します。最初の感情だけの期間を通り越し、例えるならば恋人から夫婦になる時のように、様々な過程を構築し直して関係性を作り出します。

人は直感(感情)を大切にするのだけど、実はそれだけでは上手くいかないということです。
その中で面白いのは、人は論理性や統計学的なものを持ち出すと感情は置き去りにされるということです。ここにこのドラマの非現実性というか、夢物語なところになります。二人がなんとか再構築しようとする過程も、現実であればミクリの心の整理が出来ずに、まずはミクリの心の整理をするために感情的な方法でミクリの心を楽にしなければいけないでしょう。論理的に思える思考の奥にも、感情を元に論理的に進めている”つもり”になっていることが多いと思います。つまらないことで起こるケンカの多くは、それ以前の感情に原因があります。その感情がどこから来たのか人は間違えてしまうのです。
そして、それを間違えないミクリというのは、現代における女神像であり、理想的な女性というわけです。
(僕にとっては理想的ではないですが。)

安定を求める現代において、この二人が理想的な男性であり、女性であると言えます。
少し前の理想的なカップルとして、ゆりちゃんと風見さんが登場します。

今の若者は正社員になりたくてもなれず、派遣やバイトの人が多いので、不安を抱えていきています。だからこそ安定型思考になっていて、僕ら世代を含めた若者世代にとって、ひらまさは真面目で仕事が出来て収入も高くて、浮気の気配もまったくない男であり、ミクリも真面目で頭が良くて家事も完璧にこなせるけど、ちょっとの仕事ならばキチンとこなせる社会性のある女性というのは、男女どちらから見ても理想的であると言えるのではないでしょうか。

ゆりちゃんは、男女雇用機会均等法以降で、男性に負けないように頑張って仕事をしたばかりに結婚するタイミングを逃しました。多くの女性は自分がガンバレば頑張るほど、それ以上のキャリアだったり能力だったり、自分がリスペクト出来る相手を選びますから、仕事を自分の居場所にしてしまった女性にとっては、自分以上の人となると自分よりも仕事が出来て収入の多い人じゃないといけないので、必然的に恋愛対象になる男性の数は少なくなります。ましてや美人となったら、自分より上の相手を求めようと思ったら本当に数が少なくなるように思います。
一般的に女性はそのくらい体面や世間体を気にする生き物だと思います。

それが現代の理想とされるミクリは、世間体を気にすることなくマイペースに自分の行き方を選んでいます。
バリバリのキャリアウーマンであるゆりちゃんとは違う強さを持っています。

ドラマを見始めた当初、ぼくの予想としては、ヒラマサに感情移入してヒラマサになりたいと思うかなと思いました。しかし現在はミクリになりたいと思っています。ある意味、神になりたいと言っているのと変わらない願望です。

ドラマにハマりすぎる不幸というのは、ドラマの中でのことどこか現実でも求めてしまうという所にある気がします。そんなことあり得ないと思っていても、どこか期待しているのが人間というものです。
現実性がないからこそ楽しめる夢物語を、現実に当て込むことなく、皆が現実を再構築する過程を楽しんで欲しい。そんなことを思いつつ、幸せな二人を見て楽しい気分で年末がおくれてそうです。
by masarumizushima | 2016-12-21 09:20 | 日記

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