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告知: 秦雅則

ご無沙汰しています。

あまりに記事を書かなさすぎて、二度と書かないんじゃないかと思っていた人も多いのではないでしょうか。
今日は僕のHPで広告が表示されなくなって、ちゃんと写真が見れるということ以外に大切な告知があります。

写真学生時代の同期でもある秦雅則くんが写真新世紀で優秀賞を受賞致しました。

丁度一ヶ月後から展示会が始まります。
今日から一ヶ月以内にこのblogを見れなかった人は、東京以外で開催される展示会に足を運んで下さい。


「写真新世紀 東京展 2008」

日 時 : 2008年11月8日(土)〜11月30日(日)10:00〜18:00
(木・金曜日は20:00まで、毎週月曜日休館)

会 場 : 東京都写真美術館 地下1F展示室
東京都目黒区三田1-13-3(恵比寿ガーデンプレイス内) TEL 03-3280-0099

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グランプリ選出公開審査会 実施概要

日時 :2008年11月28日(金)15:30〜
会場 :東京都写真美術館 1F ホール


写真新世紀とは、多分日本で一番大きな公募展で、受賞者からは数々の有名人が出ています。


ここからはちょっと秦君の作品について僕なりの見解を簡単に書いていこうかと思います。

僕が学校で最初に話した人物は同じクラスになった秦くんで、その後最後のゼミでも一緒でした。
僕自身、彼の影響というのは結構大きかったと思っています。
比べることは出来ませんが、僕が一番心を許していたのも彼だったような気がしています。

彼は写真学校一年目で、写真が嫌いと言っていたような変わった人物で、現像時間が早くなるからと連続撹拌していた男です。
それも我が家で僕に準備をさせて現像をしていた気がしますが、そこらへんの特殊性というのは彼が写真学校に入る以前からの影響がとても大きいと思われます。

それというのは彼は元々油絵をやっており、一線展にも受賞したことがあります。
写真という表現によって表現出来るものを求めていたわけではなく、表現したいことを表現出来る手法を探していたのではないかと僕は思っています。
写真というのはフィルムに光を当てて銀を酸化させ、プリントする時にもう一度同じことをやって、フィルムの光の当たってない部分を光が通過して印画紙に画像を焼き付けます。
photographyというのは「光のデッサン」という意味ですが、光によって紙に画像を固定させるわけです。

しかし、彼の作品というのは絵の具などを使っていることから分かるように、写真というものに何かを乗せていきます。
それは光のデッサンとはまったく違った思考で作られています。
光を求めるのではなく、絵の具を混ぜていくと黒に近くなっていくように、闇を求めています。
それはゴシック建築が空へ空へと太陽と光の方へ向かっていくのとはまったく逆で、地へ地へと潜っていくことです。
その思考は古来から日本の伝統芸能で見られる思考であります。
写真という西洋で生まれて発展したものに、彼は東洋的な思考を取り入れているのです。

彼の受賞が写真新世紀という写真の賞であることが皮肉であるような気すらしますが、
写真を材料にしているという意味では写真の範疇なのでしょう。
彼の作品は一つたりとも写真の思考ではなく、日本における美術とは別に存在する「写真」というジャンルには当てはまりません。
ましてや「アート写真」などという日本にしかないものの範疇にも収まらないことでしょう。
それは一言で言おうとするならば、美術であり、芸術であるわけです。

現代日本において、谷崎潤一郎が言う「便器文化」が浸透し、人々がそれを求めている。
その中で、彼の作品から感じる昭和臭さというか古くささというのは便器文化に対する反逆であり、人間の「生」を真っ向から見つめてぶつかり合っている証拠である。
それは彼の作品一枚一枚から見ても分かるけれど、精力的に作られた物量を見たら明らかである。
僕には決して真似することの出来ない作品である。


彼は同じく同期の小野寺南くん等と東京都内で自主ギャラリー「明るい部屋」を運営する予定でいます。
小野寺くんも精力的に作家活動を続けている有望な作家です。
ギャラリーの新情報が入り次第また告知します。

気になって仕方のない人はギャラリーのHPをこまめにチェックして下さい。

明るい部屋
http://akaruiheya.info/


僕は展示会に行くことは出来ませんが、新人発掘の公募展というのは美術館で行われる著名人の展示会とは全く違う面白さがある。
作品を買うというのはその芸術家の人生の一部を共有することでもあり、共に生きることでもある。
既に死んでいる大物の作品を見ることはもちろん素晴らしいのですが、こうやってこれから世に出て行く作家を見続けるというのは自分が育てているつもりになって楽しめる。
この写真新世紀の展示会で、何かあなたの心の止まった作品に出会えることを祈りつつ、今日はこのへんで終わろうと思う。

それではまた。
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by masarumizushima | 2008-10-09 05:45 | NEWS

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